⑨第19回ショパン国際ピアノ・コンクール審ジョン・リンク審査員

ファイナルの最終日翌日に審査員のジョン・リンク先生にお会いすることができました。ショパン研究者として絶対的な信頼を得ておられるケンブリッジ大学の先生ですが、音楽学者特有の気難しさが一切なく、お人柄も素晴らしい、私が最も尊敬するショパン研究者です。

お疲れ様のところ貴重な時間を割いてくさり、ウェデルというチョコレート屋さんでお茶を飲みながらゆっくり会話することができました。

リンク先生が取材として「オフィシャル」にしても良いと言ってくださった内容は、以下の内容を、雑誌「モーストリークラシック」に書かせていただきました。

楽譜の通りではない演奏がある、ということがSNSで話題になりました。それについてはどう考えますか?

―ショパンは複数のヴァージョンを書き残すことがあり、学術的にはそれをヴァリアントと言います。配信動画の視聴者は全ての方がショパンのスペシャリストではありませんので、メインの楽譜とは違うように演奏した時に違和感があるのかもしれません。

私は全てのヴァリアントが頭に入っていますので、ピアニストがヴァリアントを弾く度に

自分のメモに書いています(そのメモを筆者に見せてくださった)。それらのヴァリアントは如何に自然に弾くか、が重要です。テクニックだけに絞れば、《練習曲》を聴けばある程度はわかります。ただし、あまりにも速すぎる演奏にはまるで運動のようで賛成できません。《ワルツ》も同様です。速く弾きすぎる場合が見られました。ピアニッシモのような 弱音についても、ウナ・コルダ(弱音ペダル)に頼り切ってしまうことには賛成できません。ショパンは自然に耳を傾けたくなるような弱音を好んでいたと思います。

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